可愛いペットを被写体にしたいと思ってカメラの勉強をはじめたという方は多いと思います。ペットの写真はどれも可愛らしく、見ているだけで癒やされますね。
しかし、中にはじっとしているのが苦手なペットもいますし、動きも早いため、ペットの撮影には人間を撮影するのとは違ったテクニックが必要です。
この記事ではペット撮影の基本と、上手に撮影できるコツをまとめました。まるでアイドルのような可愛さを写真に残しましょうね。
ペットの撮影をする前に
ペットの撮影を始める前に、まずペット撮影にお勧めの機器を紹介しましょう。
ペットの撮影はどのような機材でもできますが、より簡単にペット撮影が行えるカメラやレンズがありますので参考にしてくださいね。
ペット撮影にお勧めのカメラ
今からペット撮影のためにカメラを購入するのであれば、動物撮影に特化したオートフォーカスモードのあるカメラを購入するのがお勧めです。
オートフォーカスとは、自動的に人間の瞳にピントを合わせてくれるもので、動きの激しい被写体でも瞳を追いかけてくれる便利な機能です。オートフォーカスモード自体は現在多くのカメラに搭載されていますが、動物は非対応のことが多いのでよく確認しましょう。
ちなみに、ソニーのカメラは多くの動物撮影対応のオートフォーカスが搭載されています。
また、動物対応のオートフォーカス機能があったとしても、真っ黒な毛の動物は瞳の判別が難しく、精度が落ちてしまう可能性もあるようです。
カメラの選定時に、もう一つ注意してほしい部分がカメラのサイズです。撮影スタジオで動物撮影をするわけではないですし、ペットが犬であれば散歩中の様子も撮影すると思います。そのため、あまり大きなカメラはお勧めできませんね。
こちらのカメラ2種類のミラーレスカメラは、一眼レフカメラよりも軽い上に高い性能を備えています。
手軽に動物撮影がしたいなら、よりコンパクトはこちらのカメラもお勧めです。
ペット撮影にお勧めのレンズ
ペット撮影にお勧めのレンズは、撮影したいペットの種類と撮影したい場所によって変わってきます。ここではお勧めのレンズを撮影のシチュエーション別に紹介していきましょう。
室内でペットの自然な姿を撮影したい
室内は室外よりも暗くなる場合が多く、さらにペットは早く動くので明るいレンズが必要です。そのためF値が小さい大口径のレンズがお勧めです。
猫は外で撮影する機会が少ないと思いますので、基本的に大口径のレンズを選びましょう。
ペットの毛並みやパーツを撮影したい
ペットの毛並みや肉球や鼻など、体のパーツを撮影したいのならマクロレンズが必要です。
マクロレンズを使ってペットにグッと近づいた撮影をすれば、ふわっとした毛並みやぷにぷにの肉球も写真に納めることができるでしょう。
ただし、ペットの性格によってはあまり近づくとカメラを怖がる・玩具にしたくなってしまう場合もあるので、撮影に慣れるまでは気をつけた方が良さそうですね。
屋外で走り回るペットを撮影したい
元気な犬や、あまり近くで撮影するとカメラを怖がってしまうようなペットには一定の距離を保った撮影ができる中望遠のレンズがお勧め。ボケも強くなるので屋外の景色と合わせた幻想的な写真が撮影できるでしょう。
ペットの撮影をする時のコツ
いよいよペットの撮影はコツをまとめていきましょう。コツさえ覚えてしまえば比較的簡単に撮影できるようになりますので、積極的に取り入れてくださいね。
絞り優先モードで撮影する
マニュアルモードで撮影慣れしている方は、そのままマニュアルモードでの撮影で良いでしょう。しかし、普段写真をオートモード撮影をしている方は、絞り優先モードでの撮影が良いです。ボケが調整できるので写真全体の雰囲気を操りやすくなります。
また、基本的に少し明るめの露出にした方がペットの可愛らしさを表現しやすいです。
背景を大きくぼかす
ペットは人間よりも小さく、特に背景の色やペット自身の毛色によっては背景に溶け込みやすい傾向があります。そのため背景をしっかりとぼかすと被写体が浮き上がって見えて印象的に仕上がります。
ピントはカメラに近い方の上縁に合わせる
写真にペットの両目が入る構図であれば、カメラに近い方の目の上縁部分にピントを合わせてください。奥の目にピントが合ってしまうと絞りによっては手前の目がぼやけてしまい、写真全体の印象が薄くなります。
また、ペットが目の付近に濃い色の柄がある場合は、オートフォーカスが柄を目と認識してしまわないように気をつけましょう。
ペット撮影時のシャッター速度
絞り優先モードでの撮影ならシャッター速度は自動的にカメラが判断するのですが、自分でシャッター速度を決める場合は室内なら1/250秒程度を目安にします。
大人しいペットであれば1/125秒でも大丈夫です。屋外で走り回るペットを撮影するのであれば1/1000秒以上が良いでしょう。
ペットの動きの早さによって最適なシャッター速度が変わるので、自分のペットの「室内でのんびり過ごしている時」「はしゃいで走り回っている時」など状況によって使いやすいシャッター速度は覚えてしまいましょう。
ペットの背丈に合わせて撮影する
あまり姿勢を低くせずに買い主目線で上目遣いのペットを撮影するのも良いですが、基本的にはペットと同じ目の高さになって撮影をすると、ペットの表情が撮影しやすくなります。
そのため、ほぼ地面に腹ばいになるような状態か、膝と肘をついたような体勢になるかと思います。
屋外撮影の場合はレジャーシートを用意して体の下に敷いたり、汚れても良い服装で撮影に挑みましょう。
連写モードで撮影する
ペットは人間と違い、意図的に撮影に臨んでいるわけではありませんし、カメラマンは表情もコントロールできません。そのため、基本的に連写モードでの撮影が良いでしょう。
大切な瞬間を取り逃がさずに済みますし、思いがけない表情が撮影できるかもしれません。目安としては秒速5コマ以上撮影できる設定にすると手足の動きにバリエーションのある写真が撮影できますね。
長時間撮影しない
一般的なペットの撮影は10分程度が限界です。先ほど紹介したように、買い主が低い姿勢でいるのに遊んでもらえないのは、ペットにとって楽しい状態とは言えず不満がたまってしまうでしょう。
撮影嫌いにならせないためにも、なるべく短時間で撮影し、撮影後にたっぷり遊んであげるように心がければ「撮影=楽しい」と思ってもらえるかもしれませんね。
撮影環境の光を操る
ペット撮影に限らず、写真にとって光を操るということは重要な要素です。光はペット撮影にどのような影響を与えるのかをまとめました。
逆光での撮影
逆光とはカメラ→ペット→太陽の順番で撮影し、人間のポートレートでも人気の撮影方法です。ペットの美しい毛並みを強調させられるのでペット撮影にも適しています。
特に毛並みの柔らかいペットのふわふわとし毛並みを表現でき、可愛らしい雰囲気の写真が撮影できるでしょう。
そのまま撮影するとペットの顔が暗くなってしまうことがありますので、露出補正をしてペットの顔がきれいな明るさになるようにしてください。
順光での撮影
順光とは太陽→カメラ→ペットの順番での撮影です。ペットの毛並みの色をくっきりと撮影でき、力強いイメージに仕上がります。
場合によっては影が強く出てしまうので、向きを調整するなどの工夫が必要です。
ペット撮影の失敗例と対処法
ペット撮影の難しいと言われる部分と、その対処法を紹介します。人間を被写体にする撮影との一番の違いはペットは思い通りに動いてくれないということ。対処法を参考に試行錯誤してみましょう。
ペットがぶれる
ペットの撮影をする時に一番困ってしうまう方が多い問題です。
ブレの理由は明るさが不足してシャッター速度が上げられなかったという状態なので室内撮影で発生しやすいです。
解決方法としては、シンプルに「明るい場所で撮影すること」が一番。
同じ室内でも窓際かどうかで明るさは大きく変わります。室内の理想的な撮影環境は晴れの日の太陽の光がよく入る明るい部屋です。カーテン越しの太陽の光は優しい照明となり、ペットの表情も豊かに撮影できるでしょう。
それでもまだペットがブレてしまうならISO感度を上げて撮影してみます。ISO感度は上げ過ぎると画像が荒くなりますので、必要最低限までの調整にしてください。
ペットがカメラを見てくれない
どんなにお利口なペットでも、カメラを見てくれないというのはよくある悩みです。カメラに興味がないのかもしれませんし、カメラを見つめるのが怖いのかもしれません。
そんな時にはペットの好きな玩具やおやつに頼って目線を誘導してみましょう。誘導に使ったものを撮影の瞬間に素早くどかし、写真に写り込まないようにするテクニックが必要です。
ペットの鼻がぼける
鼻が長い犬種をアップで撮影する場合、目にピントを合わせて正面から撮影すると顔の奥行きのせいで鼻のピントがズレてしまいます。
こういった写真を失敗とは言えないのですが、気になるようであれば絞りを少し絞るまたは少し距離を保って撮影をします。
他には、正面でなく角度をつけた撮影にすれば、アップの撮影でも鼻がボケる心配もなくなります。
ペットの撮影に慣れたら少し難易度を上げてみる
一通りペットの撮影にも慣れてきたら、いつもと少し違った撮影がしたくなりますね?ここではペット撮影の応用テクニックを紹介しましょう。
構図を考える
ついついペットを中心に撮影したくなってしまうのがペット撮影の特徴ですが、それだけでは同じような写真ばかりになってしまいますね。
構図と言ってもペット撮影はその瞬間を撮影するものなので、難しく考える必要はありません。ただ、写真にあえて空白を作ることで写真全体の雰囲気が変わります。
例えばペットの横顔を撮影する時に、ペットを画面の横に配置して目線の先にある景色のスペースを広めに取るだけで目線の先が気になるようなストーリー性のある画像になります。
このように、あえてペットを中心としない構図で撮影をすれば、今までとは違ったペット写真を表現できるのです。
前ボケの写真
前ボケとは、あえて花畑や草越しにペットを撮影し、ペットにピントを合わせて手前にある花や草をぼかすテクニックです。
奥行きがあり映画のワンシーンのような幻想的な雰囲気の写真が撮影できます。
遠くから走ってくるペットを撮影する
遠くから自分に向かって元気よく走ってくるペットの撮影は多くの人が撮影したいと思っているシチュエーションではないでしょうか?
この撮影をする時にはペットと距離を取った場所で地面に腹ばいになってスタンバイをする必要があるので、その間ペットを見ている人も必要です。
カメラマンが腹ばいになることでローアングルからの撮影が可能になり、躍動感のある写真になります。
なかなか難しい撮影になりますので、何度も撮影してみるのがお勧めです。
走るペットを流し撮りする
横方向に走る犬の背景だけを意図的にブレさせる方法を流し撮りと言います。被写体である犬はしっかり止まっている必要があり、難易度の高い撮影ですが、躍動感を表現しながらペットの生き生きとした動きを写真に残すことができるテクニックなので、ぜひチャレンジしてみましょう。
撮影方法としてはシャッター速度は1/100秒前後を目安にして試し撮りし、背景のブレ具合・被写体である犬がブレていないかを確認しながら調整していきます。
ただ犬を走らせてしまうと、走る時に頭を動かしてしまう可能性がありますので、ゴール地点にお気に入りの玩具などを用意してあげれば視線が固定され、頭の動きが少なくなりますよ。
キャッチライトを入れる
キャッチライトとは瞳の中に写る輝きの事を言います。漫画などで強調されている瞳の中のキラキラしたものですね。キャッチライトが入ったペットは可愛らしく生き生きとした印象になります。
キャッチライトは照明そのものでも良いのですが、レフ板や白い手袋などでも代用できます。手袋の方がペットの目線に合わせやすくて良いでしょう。
まとめ
ペット撮影の方法やコツをお伝えしました。まずは自分だけでなくペットにも撮影を楽しんでもらえるのが一番です。
ペットがカメラ嫌いになってしまったら、どんなにカメラマンが工夫しても良い写真を撮影するのは難しくなってしまうでしょう。
そのためにはペットも自分も楽しんで、遊びの延長で良い写真を撮影するような環境がお勧めです。
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