カメラは基本的に高価なのに壊れやすいため、扱いにくいと思っている人は少なくありません。確かに多くのカメラは衝撃に耐えられず、水にも弱いでしょう。
そんなカメラの弱点と言える部分を、全て克服したと言っても過言ではないカメラとして、オリンパス Toughシリーズがあります。
この記事ではToughシリーズの基礎知識、現行のToughシリーズの代表であるTG-6とTG-5について解説していきましょう。
オリンパス Toughシリーズの特長
Toughシリーズとは、オリンパスで発売しているレンズ一体型タフネス仕様のコンパクトデジタルカメラのことです。
防水・防塵・耐衝撃など今までカメラが苦手としている部分を克服し「いつでもどこでも撮れる」をキャッチコピーとして、さまざまなアウトドアで使用できる強さが一番の特長でしょう。
その強さから使用用途が広く、アウトドアだけでなく業務用のカメラとしても使われているようです。
Toughシリーズの高い防水性能
Toughシリーズの防水性能はJIS保護等級8(IPX8)。土砂降りのような雨の中でも撮影ができ、水深15mまでの深さでの水中撮影にも対応していますので、プールやシュノーケリングであればそのまま使用が可能です。
また、別売りの防水プロテクターを使用すれば水深45mまで対応できるようになるため、通常のダイビング撮影はもちろん、ディープダイビングも楽しめますね。
Toughシリーズの優れた防塵性
砂やホコリをカメラ内部に侵入させず、カメラ本体は水洗いができるので汚れを気にせず清潔に使用できます。防塵等級はJIS保護等級6級(IP6X)です。
砂埃の舞うような環境でも安心して使用できるでしょう。細かな配慮が必要なくなるため、さまざまな場所に持ち歩きやすくなりますね。
Toughシリーズの強さの秘密耐衝撃性と耐荷重
落下テストでは高さ2.1mの高さをクリアした高い衝撃吸収性能を持ち、100kgfの力に耐えられる耐荷重性も備えています。
カメラの故障の原因で多いと言われている「使用中に手が滑ってカメラを落としてしまった」「カメラをポケットに入れたまま座ってしまった」などのトラブルにも耐えることが可能でしょう。
さらにオプションにて販売されているシリコンジャケットを装着すればカメラが滑りにくくなり、落下の危険を減らしながら傷や凹みがつきにくくなります。
Toughシリーズの寒さへの強さ
-10℃の環境でも動作保証がされており、温度差の激しい場所で起こりやすいレンズの曇りも防ぐダブルガラス構造を採用しています。
結露も発生しにくいので、ウィンタースポーツや雪山でも使用できますね。
Tough TG-6とTG-5の比較
人気のToughシリーズの最新機種はTG-6であり、2019年7月に販売されました。最新機種が発売されたことで現在手頃な価格で購入が可能になったTG-5は2016年6月発売です。
それぞれの性能の違いを比較し、どちらが自分に最適な機種か考えていきましょう。
Tough TG-6とTG-5 カメラの強さの比較
まず、Toughシリーズの購入を考えている方であれば一番気になる部分と言えるカメラの強さについて比較してみましょう。
TG-6/TG-5 | |
防水 | JIS保護等級8級(IPX8) |
対応水深 | 15m |
防塵 | JIS保護等級6級(IP6X) |
耐低温 | -10℃ |
耐荷重 | 100kgf |
耐衝撃 | 2.1m |
動作温度 | -10℃〜+40℃ |
カメラの強さについてはTG-6・TG-5ともに変わらず、大きな変更点はありませんでした。
Tough TG-6とTG-5 本体サイズ・外観などの比較
TG-6 | TG-5 | |
寸法 | 約113.0(横幅)✕66.0(高さ)✕32.4(奥行き)mm | 約113.0(横幅)✕66.0(高さ)✕31.9(奥行き)mm |
重さ | 約253g (付属充電池及びメモリーカード含む) | 約250g (付属充電池及びメモリーカード含む) |
カラー | レッド・ブラック | レッド・ブラック |
モニター | 解像度104ドット | 解像度46ドット |
TG-6の方が若干重く大きくなっているようですが、その差は僅かなのでほとんど変わらないレベルだと言えます。
両者の大きな変更としては、モニターの解像度が上がったことです。モニターサイズは3.0型で変更がないのですが、GT-5の倍以上の解像度を搭載しています。
TG-5をお持ちの方であれば、その違いが感じられるでしょう。
Tough TG-6とTG-5 基本性能などの比較
TG-6 | TG-5 | |
焦点距離 | 35mm判換算で25mm〜100mm | 35mm判換算で4.5mm〜18.0mm |
F値 | F2.0〜F4.9 | F2.0〜F4.9 |
有効画素数 | 約1200万画素 | 約1200万画素 |
ISO感度 | ISO100〜12800 | ISO100〜12800 |
シャッター速度 | 1/2-1/2000秒 | 1/2-1/2000秒 |
ズーム | 光学倍率:4倍 | 光学倍率:4倍 |
最短撮影距離 | 10cm〜 | 10cm〜 |
オートフォーカス | コントラストAF | コントラストAF |
手ブレ補正 | 撮像センサーシフト式手ブレ補正 | 撮像センサーシフト式手ブレ補正 |
ARコート | あり | なし |
低速限界設定 | あり | なし |
基本性能に関してもARコート以外はあまり違いがありません。TG-6から搭載されたARコートは、強い光が差し込んだ時に画像のゴーストやフレアを低減させることが可能です。
また、TG-6から搭載された低速限界設定は、シャッタスピードの下限が自分で決められ、指定したシャッタースピードを元にISO感度の設定を自動的に行ってくれる機能です。
Toughシリーズはシャッタースピード優先モードのないため、動きの早い生き物などの撮影が難しいと言われてきましたが、この悩みを改善できる新機能だと言えますね。特に水中で魚を撮影するには有効でしょう。
Tough TG-6とTG-5 マクロ性能の比較
TG-6 | TG-5 | |
顕微鏡 | 1cm〜撮影可能 5種類 | 1cm〜撮影可能 5種類 |
P/Aモードでのマクロ撮影 | 可 | 不可 |
Toughシリーズに以前から搭載されているマクロシステムとして「顕微鏡モード」を採用しています。
顕微鏡モードとは、その名の通り「まるで顕微鏡で見ているような世界が撮影できる」撮影モードであり、被写体まで1cmという近距離での撮影ができるため、生き物や植物など迫力のあるマクロ画像が撮影できると人気です。
その顕微鏡モードには4種類があります。
- 顕微鏡モード=顕微鏡で観察しているような拡大撮影が可能です
- 顕微鏡コントロールモード=顕微鏡の対物レンズを交換する感覚で最大44.4倍まで拡大可能です
- 深度合成モード=ピントをずらしながら撮影し被写界深度の合成が可能です
- フォーカスブラケットモード=自動的にさまざまなピントの画像を1シャッターで撮影可能です
TG-6では、この顕微鏡モードのうちの深度合成とフォーカスブラケットの2種類について、より高度な詳細設定が可能になりました。
具体的には、TG-5では8枚で固定されていた合成機能がTG-6から3〜10枚と選択できるようになっています。ピント合わせが難しいマクロ撮影でもベストショットを逃しませんね。
また、TG-5ではP(プログラムオート)、A(絞り優先)、動画撮影中でもモード切替を行わずにマクロの撮影ができるため、設定をし直す手間が不要になりました。被写体を撮影中に「もっと被写体に寄った画像が撮影したい」と感じたとしてもスムーズなマクロ撮影が期待できますね。
Tough TG-6とTG-5 水中撮影への強さの比較
TG-6 | TG-5 | |
水中撮影モード | 水中スナップ 水中ワイド 水中マクロ 水中HDR 水中顕微鏡 | 水中スナップ 水中ワイド 水中マクロ 水中HDR |
水中ホワイトバランス | 水中:浅瀬 水中:標準 水中:ディープダイビング | 水中 |
TG-6で新しく追加された水中顕微鏡モードでは、水中でも被写体まで1cmの至近距離まで近づくことができます。そのため、今までのカメラでは撮影できなかったような水中の映像が表現できるでしょう。
また、ホワイトバランスについても水深に合わせた色表現が可能になりました。
- 水中:浅瀬=水深約3mまでの浅瀬での赤被りを改善します
- 水中:標準=水深約3〜15mに最適な設定します
- 水中:ディープダイビング=防水プロテクターを装着し水深15m〜の領域での青被りを改善します
より細かくホワイトバランスを調整できるため、水中の美しい色味を再現しやすくなりますね。
Tough TG-6とTG-5 その他の性能の比較
TG-6 | TG-5 | |
デジタルフィルター | 16種類 | 14種類 |
タイムスタンプ機能 | あり | なし |
デジタルフィルターのバリエーションがTG-6ではブリーチバイパス・ネオノスタルジーの2種類が追加され、よりオリジナリティあふれる画像に仕上げられるようになりました。
また、タイムスタンプ機能を使用すれば画像を撮影した日時と時刻を画像内に刻印可能です。後々写真を見返した時に「いつ頃撮影したものだったか?」と思わずに済みますね。
Tough TG-6とTG-5 オプションについて
防水プロテクターはTG-6・TG-5ともに専用のものがあります。カメラの故障を防ぐためにも、それぞれ必ず対応機種専用のオプションを使用しましょう。
また、TG-6対応のフィッシュアイコンバーターレンズもあり、防水性能を搭載しているので水中でも独特な画像が撮影可能です。
TG-6とTG-5どちらが最適か
TG-6とTG-5の機能を比較しましたが、自分はどちらのカメラが向いているのか決めかねてしまう場合もありますね。ここでは、どちらがお勧めかどうかをまとめてみました。機種選びで悩んでいるのであれば、ぜひ参考にしてくださいね。
Tough TG-6を選択するべき人の特長
- 最新機種・最新の機能に魅力を感じる方
- マクロにて深度合成などを駆使した撮影がしたい方
- 水中でも顕微鏡モードで撮影がしたいと思っている方
- 水中撮影の回数が多い方
- TG-5を所持していて物足りなさを感じている方
- 予算に余裕がある方
Tough TG-5を選択するべき人の特長
- コスパ重視でカメラを購入したいと考えている方
- 水中撮影の予定が少ない方
- マクロにて深度合成などを行う予定のない方
- 少しでも安い価格で水中カメラがほしいと思っている方
TG-6が発売した以上、TG-5は価格が抑えられている傾向です。ちなみにTG-5のカメラアクセサリーのほとんどがTG-6でも使用可能ですが、水中プロテクターやカバーなどは対応機種専用のものを使用するようにしましょうね。
まとめ
オリンパスToughシリーズのTG-6とTG-5の比較をいたしました。
簡単にまとめると、TG-6で新しく加わった機能として特徴的なものは「水中での顕微鏡モード」「深度合成の詳細設定」「低速限界設定」があげられるかと思います。
自分が求めている性能がTG-6にあるかどうかを考え、費用対効果の得られる選択ができるようにしましょう。
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