一眼レフなど、カメラを暗い場所で撮影するのは難しいと思っている方が多いようです。確かに昼間の撮影と同じ感覚で撮影に挑んでしまうと、とても難しく感じてしまうかもしれませんが、実は夜景撮影のコツさえ覚えてしまえば思っているよりも簡単に素晴らしい写真が撮影できます。
初心者だからと夜景撮影を嫌煙してしまう必要はないのです。この記事では、美しい夜景を写真に残せるように、夜景撮影のコツや注意点を紹介しましょう。
夜景撮影に必要な道具と便利な道具
もちろん、カメラさえあれば夜景撮影は可能です。しかし、周囲が暗く明るさが不足している状態での撮影になるので、かなり撮影方法が絞られてしまうでしょう。
元から夜景撮影をメインとした予定があるのなら、夜景撮影用のグッズは揃えておくべきですね。
三脚などのカメラを固定するもの
夜景撮影と言えば三脚です。三脚でしっかりとカメラが固定されればシャッター速度を非常に遅くしてもブレの心配がなくなります。
シャッター速度が遅くできるということは、絞りを絞っても光が不足しないということなので、広い範囲にピントが合わせられますね。
多くの夜景写真は被写界深度が深い、つまり奥の景色にまでくっきりとピントが合った状態が好まれるので、やはり三脚は夜景撮影には欠かせないものだと言えるでしょう。
三脚と聞くと「大荷物」を浮かべる方もおりますが、多くの三脚が折りたたみ可能で、とてもコンパクトにまとまって軽いものも多く、持ち運びもさほど不便ではありません。例えば下記のような三脚であれば、重さは730g程度なので持ち運びの負担もありませんね。
また、ちょうど良い高さの台などがあれば、三脚の代わりにしてカメラを置いて撮影も可能です。その場合にはカメラの落下によく注意しましょう。
遠隔でシャッターを押すための準備
三脚でしっかりとカメラを固定したとしても、シャッターを手で押してしまうと、どんなに注意をしても、その振動で画像がブレてしまいます。それでは三脚を使用した意味がありませんよね。
そのため、夜景の撮影には遠隔シャッターの準備が必要不可欠でしょう。遠隔でシャッターを押す方法は、リモコンを使用するかスマホとカメラを連動させてスマホからカメラを操作する方法があります。画像が確認できるので、可能であればスマホとの連動がお勧めです。
また、スマホの操作に慣れていてもカメラの遠隔操作経験がないのであれば、撮影日までに慣れておくと良いですね。
両方とも準備できなかった場合には、カメラのセルフタイマー機能を用いて撮影をすれば良いでしょう。画像の確認はできませんが、ブレは防ぐことが可能です。
手元を照らすヘッドライト
人工の光が少ないような場所で夜景の撮影をするのなら、撮影準備のために手元を照らすことができるヘッドライトがあると良いでしょう。通常の懐中電灯などでは両手を使った作業ができません。
撮影に熱中してしまうと転倒などの恐れもあります。足元の安全確認もできますので、重装備と思わずに用意するようにしましょうね。
また、他の撮影者がいるような環境では自分のヘッドライトで迷惑をかけてしまう場合もあります。その場合はヘッドライトの使用は必要最低限に留めるようにしましょう。
覚えるべき夜景撮影のコツ
冒頭にも記載いたしましたが「初心者には難しい」と言われている夜景撮影も、コツさえ覚えてしまえば難しいものではありません。ただ、昼間の撮影とは考え方を変える必要があるというだけです。
事前に確認しておけば、すぐに利用できるコツばかりですので覚えてしまいましょう。具体的な夜景撮影のコツをまとめました。
シャッタースピードを遅くする
三脚を利用していることを前提に話を進めますが、夜景撮影では太陽の光がありませんので、基本的に昼間と同じようなシャッター速度での撮影ができません。
例えば1/100秒や1/250秒など昼間と同じようなシャッター速度で夜景を撮ると、昼間と違い光自体が少ないために、カメラが光を取り込む時間が不足してしまい「真っ黒な画像」になってしまいますね。
ならばフラッシュを使用すれば良いと考えたとしても、今度はフラッシュで近くにあるものだけが明るく光ってしまい、肝心の美しい夜景は真っ暗になってしまいます。そのため、夜景撮影は基本的にシャッター速度を1秒〜設定し、光が不足するならさらに遅く調整を繰り返します。明るすぎても雰囲気が崩れてしまいますので、光の美しさが強調できる適度なバランスの設定を選びましょう。
人間は呼吸や鼓動を絶えず行っているため、たった1秒の間ですらブレずに完全な静止をすることはできません。そのため、シャッター速度が遅くなると写真がブレてしまいますね。夜景撮影に三脚が欠かせないという理由はシャッター速度に関係するのです。
ISO感度を適度に上げる
ISO感度とはカメラが光を捉える力をコントロールできる機能です。ISO感度が高ければ、夜景のような暗い撮影環境下で少しの光でも写真を撮影できるようになるのですが、ISO感度が高くなるほど画質は悪くなるというデメリットもあります。
そのため、撮影環境の光に合わせてISO感度は可能な限り低く設定するというのが理想です。しかし、最近はカメラの性能も上がっておりますので、画像を大きく引き伸ばして印刷する予定でもない限りは、あまり神経質に考えなくても良いでしょう。
一般的には、街並みなどの夜景撮影であればISO1000〜1600、星空など人工の光がない撮影であればISO1600〜2500位が目安になります。
三脚を使用しない場合の夜景撮影ではISOをさらに高くすることで、ブレずに夜景の撮影が可能な場合もあります。
被写界深度は深く設定する
被写界深度とは「ピントが合っているように見える範囲」のことです。設定はカメラの絞りで行い、「F値」と呼ばれます。
F値は低ければピントが合う範囲が狭く、高ければピントが合う範囲が広くなります。
分かりやすく例えると遠くにあるビル街の夜景を撮影しようとした時に、F値が低ければ肝心のビルの光がボケてしまいます。それでは美しい夜景は撮影できませんよね。
夜景撮影には一般的にF8.0以上の絞り設定が良いと言われています。絞りについても無意味に数値を上げすぎると画質が悪くなる場合がありますので、注意してください。
ホワイトバランスを調整する
夜景を撮影した時に理想の色味に仕上がっていないと感じたことはありませんか?ホワイトバランスを調整すると、自分の好みの色味の夜景が撮影できます。
ホワイトバランスモードはカメラメーカーによって多少名称が違う場合もありますが、基本的には「曇りモード」を使用すればオレンジがかった温かみのある柔らかい印象・「白熱蛍光灯モード」では青みがかった都会的でシャープな印象が演出しやすくなります。
自分の好みもありますが、被写体によってもイメージが変わると思うので、実際に画面を確認しながら調整をしてみる良いでしょう。
夜景撮影の注意点
夜景撮影のコツをお伝えしましたが、注意するべきポイントも把握しておく必要がありますね。ここでは、夜景撮影の注意点をまとめました。
撮影当日までに必ず確認しておきましょう。
フラッシュを使用しない
シャッター速度の説明でもお伝えしましたが、夜景撮影でフラッシュは使用してはいけません。そもそもフラッシュの光は遠くまで届くものではありませんので夜景撮影向けのものではないと理解しておきましょう。
自動的に暗さを探知するとフラッシュが稼働してしまうようなカメラであればフラッシュ機能禁止を設定しておきます。
三脚が使用可能か確認する
展望台などではそもそも三脚の使用を禁止している場合があります。また、人気の夜景スポとでは混み合っている状態の中、三脚の移動で周囲に迷惑をかけてしまわないように配慮が必要です。
もちろん撮影に没頭するあまりに、立ち入り禁止の場所に立ち入るようなことは絶対に止めましょう。
夜景撮影の応用テクニック
夜景撮影にはいくつかの応用テクニックがあり、とても幻想的な写真を撮影できるようになります。覚えてしまうと、上級者レベルの写真が撮影できるようになりますので、そのテクニックを紹介していきましょう。
車の光跡を撮影する
画像を確認すると、道路に光のラインができていますね。これは車のライトの光跡です。シャッター速度を遅くすることでこのような写真が撮影できるようになります。
画像の下部分にある信号に停止している車は、光跡でなく車自体が撮影できているのでおおよそのシャッター速度が想像できますね。
このような写真を撮影する場合は細かくシャッター速度の調整を行い、理想的な光跡に仕上がる速度を見つけましょう。シャター速度によって光の量や太さが変わってきます。
丸ボケの撮影
夜景撮影では被写界深度を深くして、奥にあるものまでピントを合わせるとお伝えしましたが、あえてボケを楽しむ夜景撮影も存在します。
画像のような夜景がボケている状態の写真を見たことがありますか?この状態を「丸ボケ」と呼び、手前にある被写体のみにピントを合わせ、奥にある夜景をぼかします。
夜景の光が丸い形状になるため「丸ボケ」と呼ばれるわけです。手前に何も被写体を用意せず画像全体で「丸ボケ」を楽しむ方法もあります。とても幻想的な映像に仕上げられますね。
独特な光を楽しむ
先ほどの被写界深度を浅くする方法の逆に、あえてF値を高く設定し必要以上に被写界深度を深くすると、写真のように光が太陽のような輝きを見せます。
本来は普通の街灯なのですが、まるで映画の中にいるような世界観に仕上げられるでしょう。写真全体の雰囲気が大きく変わりますので、ぜひチャレンジしてみてください。
夜景撮影のポイント
夜景撮影には知っておくと良いポイントがいくつかあります。ポイントを理解しておけば、撮影の幅が広がりますね。
トワイライトタイムの撮影
「トワイライトタイム」とは別名「マジックアワー」とも呼ばれており、日没から30分後くらいの周囲がまだうっすらと明るい時間帯のことです。暗くなる前でありながら街の明かりは点灯している状態なので、いつもの夜景とは少し違った夜景撮影ができますね。
空の色味の移り変わりがとても美しい時間帯でもありますので、数分おきに写真を撮影してみるのも良いでしょう。
季節や天候によっても写真の雰囲気が大きく変わるため、同じ場所で何度も撮影をするのもお勧めです。
平日の夜の都会
夜景を撮影するのに曜日は関係ないと思っていませんか?よく考えみてください。多くのビルの光はそれぞれがオフィスに使用されています。基本的には土日は休みである会社が圧倒的に多いですよね。
そのため、ビルの夜景を撮影したいのであれば平日の夜の方が良いということです。人気の夜景スポットですと土日は混雑する可能性も考慮して、可能であれば夜景撮影は平日に行いましょう。
まとめ
夜景撮影のコツや注意点を分かりやすく説明いたしました。コツさえ覚えてしまえば、さほど難しいものではないと感じられたのではないでしょうか?
三脚さえあれば特に特別なテクニックは必要ありませんので、気軽に夜景撮影にチャレンジしてみましょう。
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