少し前なら「動画を撮影するのはビデオカメラ」「写真の撮影をするのは一眼レフカメラ」と区別がつけやすくなっており、動画撮影に一眼レフカメラとビデオカメラのどちらが良いかを考える必要はありませんでした。
しかし、一眼レフカメラの動画撮影機能が年々飛躍的に成長し、一眼レフカメラの特権と言える高画質な動画が撮影できるようになったことから、動画撮影にはどちらを使えば良いのかという選択肢ができました。
これから動画撮影を行おうと考えている方のために、一眼レフカメラとビデオカメラどちらが動画撮影に最適なツールなのかを比較し、まとめてみましょう。
ビデオカメラについて
ビデオカメラは名前の通り動画を撮影するためのツールです。年々小型化されており軽量で使いやすく、知識がなくても気軽に動画を撮影できるようになっています。
そのため、動画編集を目的としている方よりもファミリー層からの人気が高い印象です。
ビデオカメラで動画を撮影するメリット
動画を撮影するためのツールなので当たり前ですが、動画撮影時には一眼レフカメラに比べて多くのメリットが存在します。
持ち運びが便利なサイズ・大きさ
ビデオカメラの一番のメリットは軽くて小さいこと。手のひらにフィットするサイズがメインとなっており、普段使いのバックに入れても大丈夫な高い携帯性があります。
長時間持ち運んでいても重いと感じることはないでしょう。
片手で操作ができる
両手でカメラを持つことが前提とされている一眼レフカメラと違い、ビデオカメラは基本的に片手の操作のみで撮影ができるよう工夫されています。軽いので、三脚を利用せずに長時間撮影しても負担がかかりません。
簡単な操作性
特に動画や画像の知識は一切必要なく「ON」「OFF」だけで撮影ができるような操作性を持っています。練習などの必要はなく、直感的に誰にでも使える機器だと言えるでしょう。
価格帯が安い
価格帯は幅広いのですが、安いものであれば3万円台から購入が可能な機種もあり、非常に手頃な価格です。
また、その他にも撮影に必要な機材はありませんし、レンズを変える必要がないのでアクセサリーの費用もかかりません。
長時間撮影が可能
長時間撮影にも対応できるバッテリーを搭載しておりますので、一般的な使用方法であれば交換バッテリーを持ち歩く必要もないでしょう。ビデオカメラだけを持って撮影に出かけられますね。
音質が良い
動画に特化したツールですので、一眼レフカメラに比べて撮影時の音を綺麗に残せます。
ノイズキャンセル機能を持ったビデオカメラを使えば撮影者の話し声はカットして、被写体の音のみを録音することも可能です。
ビデオカメラで動画を撮影するデメリット
メリットが多いビデオカメラでの動画撮影ですが、映像へのこだわりを持つ方には物足りなさがあるかもしれません。そのデメリットをまとめました。
背景をぼかせない
一眼レフカメラと違い、映画のような背景をぼかした美しい映像は撮影できません。撮影したい映像がはっきりしているのであれば、一眼レフカメラを検討するべきでしょう。
暗い場所での撮影ができない
イメージセンサーを簡単に説明すると画像の情報を取り込む場所だと考えてください。ビデオカメラは一眼レフカメラのように大きなイメージセンサーを搭載していません。
そのため、明るさが足りていない場所では光の情報を集められず、暗い場所での撮影には照明が必要となるでしょう。
こだわった映像を形にできない
気軽に撮影ができるのですが、凝った映像を形にすることには向いていません。
ビデオカメラでの撮影が向いているシーン
- 長時間の撮影をするシーン(学校行事や旅行など)
- 動き回る被写体を撮影するシーン(運動会やスポーツなど)
- 撮影者が動きながら撮影をするシーン(旅行や観光など)
一眼レフカメラで動画を撮影することについて
一眼レフカメラとはカメラに1つのレンズと鏡(レフ)があるカメラのことを言います。ミラーレス一眼とは構造が違いますが、機種によってはどちらでも同等の画像を撮影できます。
本来は写真を撮影するためのものですが、近年どの機種でも動画撮影機能にも力を入れており、美しい映像を残せるようになりました。
一眼レフカメラで動画を撮影するメリット
一眼レフカメラには写真撮影に特化したツールだからこそ可能な表現があります。動画撮影に一眼レフカメラを使うと得られるメリットをまとめました。
ビデオカメラよりも画質が良い
ビデオカメラで撮影した動画よりも一眼レフカメラで撮影したものの方が、画質や色味が美しく仕上がります。
プロも使用するこだわりの写真を撮影できるツールですので、画質が良いのは当たり前のことかもしれませんね。
ボケ感のある動画を撮影できる
一眼レフカメラの最大の特長とも言える背景のボケは、被写体を引き立たて画像の雰囲気を出す方法としてよく利用されています。
動画でボケを強調すれば、映画のワンシーンのような映像が撮影できるでしょう。
レンズが交換で撮影の幅が広がる
一眼レフレンズの構造上の特長としてレンズ交換が可能なことがあります。
レンズを変えれば撮影できる映像が大きく変わるので、用途ごとにレンズを使い分ける楽しみもありますね。
例えば広い景色を撮影するには広角レンズを使い、人物をメインとした動画を撮影するのならボケ感の強い中望遠レンズを使うなどの方法です。
一眼レフカメラでの動画撮影は撮影方法や表現方法が多岐に渡ると言えるでしょう。
暗い場所での撮影に強い
ビデオカメラで動画を撮影する場合のデメリットで説明しましたが、一眼レフカメラにはビデオカメラよりも大きなイメージセンサーが搭載されています。画質が良いのも同じ理由です。
そのため多くの光を取り込みやすく、暗闇での撮影にも対応できるのでしょう。
一眼レフカメラで動画を撮影するデメリット
一眼レフカメラでの動画を撮影するメリットを紹介しましたが、動画を撮影するためだけのツールでないことから、デメリットも多いと言えます。その内容を説明しましょう。
大きく重いため持ち運びが不便
ほどんどの一眼レフカメラがビデオカメラよりも何倍も大きくて重いです。携帯性が良いとはとても言えません。
カメラ本体だけで1kg、レンズを入れると2kgを超える場合も珍しくないため、持ち運びだけでも大変です。また、撮影には両手でカメラを支える必要があります。
撮影には三脚などが必要になる
一眼レフカメラ自体が重いので、長時間の撮影では三脚が必要不可欠です。
三脚の持ち運びも考えると「気軽に動画を撮る」という感覚の撮影はできませんね。
価格帯が高い
一眼レフカメラは優れた性能を持っているだけあり、ビデオカメラに比べて非常に高価です。
機種にもよりますが動画撮影に長けた新品であれば、レンズ込みで最低でも10万円程度となるでしょう。
バッテリーの持ちが悪い
やはり本来は写真を撮影するためのものですので、長時間動画撮影を何回も行うには一つのバッテリーでは対応ができません。長時間動画撮影をする場合には交換バッテリーを用意する方が無難です。
ピントずれが発生しやすい
背景をぼかした撮影に長けている一眼レフカメラは、悪く言えばピント合わせが難しくなるということでもあります。
現在の一眼レフカメラはオートフォーカス機能を搭載している機種がほとんどですが、素早い動きに対応できるオートフォーカス機能を持っているビデオカメラに比べてしまうと速度が敵わないと言えるでしょう。
音質が悪い
一眼レフカメラはビデオカメラよりも音質が劣っている場合の方が多いです。また、カメラの操作音なども録音されてしまったりするので、一眼レフカメラで音質にもこだわるのであれば外部マイクを用意しましょう。
一眼レフカメラでの撮影が向いているシーン
- 被写体を引き立てる画像の撮影シーン(植物や昆虫など)
- 動きが少なく短時間の撮影シーン(赤ちゃんの成長記録など)
- 薄暗い場所の撮影シーン(室内撮影)
一眼レフカメラとビデオカメラのどちらが動画撮影に向いているか
一眼レフカメラとビデオカメラで、それぞれ動画を撮影する時のメリットとデメリットを紹介しましたが、結論としては、どちらにも良い点と悪い点があり簡単に答えは出せないということがお分かりになったかと思います。
どちらの方が自分に適した動画撮影ツールかどうかは、自分が動画を撮影するシチュエーションによっても変わるでしょう。
そのため、一番良い選択肢は「一眼レフカメラ・ビデオカメラを両方使用して使い分ける」ですが、なかなか難しい場合もありますよね?
ここではパターン別に、動画撮影には一眼レフカメラとビデオカメラのどちらの方が最適と言えるのかをまとめました。
動画撮影にビデオカメラを使用するのがお勧めの人
まずは動画を撮影するためにビデオカメラの購入をした方が良い場合を紹介しましょう。
動画撮影も写真撮影も初心者
一眼レフカメラには多くの機能が搭載されており、気軽な動画撮影目的のみで使用するにはオーバースペックであるとも言えます。
特に写真にはあまり興味がなく、これからも写真を学ぼうと考えていないのであれば、高価で取り扱いが難しい一眼レフカメラを選ぶ必要はないでしょう。
ただし、初心者であっても「これから知識を身に着けたい」という意欲があるのなら話は別です。
気軽に撮影したい
子供の運動会や発表会、旅行など、とにかく難しいことは省いて気軽に動画を撮影したいと考えているのであれば、携帯性が良く操作も簡単なビデオカメラを購入するべきです。
一眼レフカメラを購入してしまうと、持ち運びすら面倒に感じてしまい使わなくなってしまう可能性が高いので注意しましょう。
動画撮影に一眼レフカメラを使用するのがお勧めの人
動画撮影のために一眼レフカメラを購入した方が良い人はどちらかと言えば少数派であると言えます。どのような方が一眼レフカメラを使用した動画撮影が向いているのか説明しましょう。
細かな調整をしてこだわりの動画を撮影したい
ビデオカメラに比べて一眼レフカメラは動画撮影に細かな調整が可能です。その分三脚や外付けマイクが費用になる場合もありますが、作品としてのハイレベルな動画が撮影できるでしょう。
そのため、YouTubeで使用する動画などは一眼レフカメラが使用されている場合が多いです。本気で動画作りをしたいと考えているのであれば一眼レフカメラを購入すると良いですね。
また、レンズを交換すればさまざまな動画を撮影できるので、バリエーションに富んだ映像を形にできるでしょう。
ボケ感のある動画が撮影したい
一眼レフカメラでしかできないこととして、映像のボケ表現があります。ボケのある動画を撮影したいのであれば、一眼レフカメラを選びましょう。
ボケ表現を利用すると、動画全体の雰囲気が変わり、被写体を引き立てる映像を形にできます。
写真撮影と動画撮影を一台で済ませたい
写真撮影も動画撮影も一つのツールで済ませたいと考えているなら一眼レフカメラを選択するしかありません。
ビデオカメラでも写真が撮影できたり、動画の一部を静止画として写真にすることはできますが、一眼レフカメラで撮影したような画像は期待できないからです。
まとめ
動画を撮影するにあたって、一眼レフカメラとビデオカメラのメリット・デメリットを紹介しました。
簡単に説明すれば、気軽に動画撮影がしたいのならビデオカメラ、凝った動画を作りたいなら一眼レフカメラと考えてもらえれば良いでしょう。
最適なシュチュエーションが明確なので、自分の撮影用途を考えて選択しましょうね。
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